日本最後の秘境 / 下の廊下・水平歩道・日電歩道 / 奥山黒部の電源開発 / 名著「高熱隋道」
日本最後の秘境としてNHKでもたびたび紹介されている黒部峡谷核心部「下廊下」です。
黒部ダムから欅平に至る黒部川一帯が険しい黒部の奥山の原型を留めたままに残されています。
黒部ダムから仙人谷までの黒部川左岸に作られた16.6kmは日電歩道と呼ばれS字峡・十字峡・白竜峡などの景勝地があり
「下廊下」の核心地帯となっています。
水平歩道は仙人谷から欅平までの標高1000mの断崖を水平にくり抜いて作られた約13kmの登山道です。
黒部川水面より200m程の高さにある絶壁上に道があり転落すれば途中に捉まる場所はありません。
このような危険な場所であるため「黒部では怪我をしない」とのスラングがあるほどです。(落ちれば生命にかかわるため/怪我ではすまないの意)
実際に工事の資材を運ぶ際の事故だけでも数百人の命が失われているそうです。
9月10月の一月ほどの短い期間だけ通行が出来る、黒部峡谷の中でも一番の見所です。
1泊2日の日程で立山駅ー黒部ダム-阿曽原温泉-欅平-宇奈月と抜けることが出来ます。
吉村昭の良書『高熱隧道』(こうねつずいどう)の舞台となった場所で、1936年8月から着工された黒部川第三発電所の建設工事の
ために掘り進んだ坑道の岩盤温度が、摂氏166度になるほど過酷な環境下で進められた人類史上類を見ない難工事が描かれています。
隧道内にいるだけで火傷を起こすほどの高熱な環境はダイナマイトが自然発火・暴発するほどで、多くの人命が失われる中、工事は
戦争の国策の中で強行されました。険しい黒部の冬では「泡雪崩」で宿舎が数百m吹き飛ばされて志合谷・出し平ダム・竹原谷と
延べ百人を超える犠牲者が出たそうです。他に『黒部・底方の声-黒三ダムと朝鮮人』や「佐藤工業60年史」等の資料があります。