IHってコンロじゃないの?-電気と電磁、加熱と発熱 驚きの違い
まず、「焜炉」(コンロ)とは、書いて字のごとく
小型の調理用の炉 (Wikipediaより)だそうです。
最近人気のIHコンロ(クッキングヒーター)はどんな仕組みなのかおさらいしてみました。
まず、IHとは、そもそもなんでしょうか。
IHとは、Induction Heatingを略したもので、電磁誘導加熱のことです。
トッププレートの下にある、磁力発生コイルから発生した磁力線が、
鍋底を通過するときにうず電流となり、その電流の抵抗で
「鍋底 自体が発熱する」というしくみになっています。
以上PanasonicのHPより引用
ですので、IHは炉では無く磁力を発生させる装置ということになります。
IHの本体自身は発熱しません。
「特定金属製調理器具用・磁力線発生装置台」と呼ぶと解りやすいかもしれません。
ちょっと理解しにくいので図解してみます。
画像参考資料 TDKテクノマガジン(WEBマガジン)
まだわからないので、更に具体的な例を用いて図解してみます。(理解しやすいように描いてあります)
よく、IHで「卵がうまく焼け無い」「加熱ムラが出来やすい」といわれていますが何故でしょうか。
卵焼き鍋を例にします。
左の「卵焼き鍋」に「溶き卵」を流しいれます。
右側が「卵焼き鍋」に黄色い溶き卵が満たされた状態です。
次にIHです。赤くなった部分が通電させると磁力が発生する場所です。
通電させたIHの上に先ほどの「溶き卵が満たされた鍋」を置きます。
IHが磁力を発生させる赤い部分で「卵焼き鍋」自身が発熱します。
さて、「溶き卵が満たされた鍋」をIHから降ろしてみます。
「溶き卵が満たされた鍋」の濃い黄色の部分は磁力が発生して発熱したことにより焼けていますが
薄い黄色の部分はあまり焼けていません。
今度は鍋自身の温度の様子を側面から見てみましょう。
IHに通電して磁力が通ることにより鍋の赤く印した部分が発熱します。
ここから熱伝導により鍋が温まっていきますが、鍋の側面は温まりにくいです。
一方機器、自身の発熱により鍋を温めるガス火等で底面だけでなく鍋の側面も温めます。
鍋の中に液体を入れると加熱による「対流」がおきますが、これには研究報告がありました。
この違いは平成20年度日本調理科学会大会の「IH加熱とガス加熱における鍋内対流様式の比較」での
報告によりますと、”ガスでは鍋側面が,IHでは底面部が加熱面となることを確認した.
対流の可視化実験において,ガスでは鍋側面から内部へ,IHでは内部から上昇して外側へと,逆の対流となった”
とのことで、大根を調理した結果では,”食材の軟化速度に影響を与えないと考えられた”
とのことです。
この研究を参考に考察してみます。
「両手鍋」で検索してみますと、アマゾンで一番がパール金属 両手鍋 22cm ガラス鍋蓋付 IH対応 3層底
シンプル・ウェア HW-7205 サイズ(約):幅330×奥行235×高さ170mm 満水容量:4.4L
鍋の直径が22cmで高さが12cmだそうですので、この寸法で計算するとおおよそ容積は合います。
加熱面の面積で考えてみます。底面の面積は379cm、側面の面積は828cm
ですので加熱面の面積はガスが2倍以上の面積となりますので、温度を一定に保つ力が強そうです。
また、底面が加熱面とすると対流は上下になるイメージが沸きます。
側面だと360度方向ですから、より対流に変化が出てまんべんなく回りそうです。
このことが、「加熱ムラが出来やすい」といわれる原因かもしれません。
同じ電気を利用した調理機器でもハロゲン、ラジエント、エンクロ、シーズヒーター等の電気コンロは
ガス火と同様に機器自身が発熱して熱によって温めます。
このようにIHと、その他のコンロでは加熱の特性に大きな違いがあるようです。
電気を利用した調理器具の一番の利点は
①超弱火調理ができること
②タイマー調理ができること
③プログラム使った自動調理ができること
以上3点です。
これは、全て便利です。
自分はこの機能を使うためにIHを使用しています。
ガスとIHは別の調理器具と考えて使い分けをしています。
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